先日我々が長年管理している田んぼの一枚で、表層作土を15センチほどパワーショベルで剝がしているところを見ました。近くの河川工事のための資材置き場用に一時的に提供したためです。表層は数日前の大雨で非常にぬかるんでおり、状況としてはトラクターで代掻きできるレベルの水分量で、とても重機が入れる状態ではないと思いましたが、入っているところを見てびっくり。ぬかるんでいるのは15センチ下まででその土をどけると、その下は硬くて水分少なく土色も暗灰色で、表層の水は全く浸透していませんでした。それも、全面、測ったように同じ深さで。土建業者は、”もう乾いている”という表現をしていました。この状態で?。長年のトラクター使用によって耕盤ができることは私も知っていましたが、こんなに極端な状況下でこんなに広い範囲を掘ってみたことがなかったので本当にショックを受けました。作土層って本当に浅いんですね。

 そこで考察です。ロータリー耕のみでは浅いところ(せいぜい15センチ)で、面で、耕盤の境目ができるので、作土層に下方面の広がりがなく、夏は干ばつ、大雨時には過湿となり、一年を通して水分量の不安定さを助長しているのは歴然です。一方、大型機械でのプラウ耕もロータリー耕より深いところまで耕起できます(30~40センチ)が、全面耕起には変わりなく、深いところで耕盤面が生成されると考えます。それは、ぬかるみ層を増やすだけになる可能性はないだろうかと考えました。なので、耕起は、以前のようにトラクターやスタブルカルチ(導入検討中)などで浅めの管理をして、追加で、部分的に深耕して、下層にギザギザの面をつくるのはどうかと考えました。というわけで、現在、ニプロのソイルリフターで部分深耕(深さ50センチ程度、1メートル強おき)をおこなっています。2本爪も考えましたが、より深く深耕できるように、一本爪を導入しました。スタブルカルチやソイルリフターなどの牽引ものは耕盤をつくらないというフレコミですが、実際は爪で土を引っ張った部分などは土を練った跡が残るので、耕盤をつくらないというのは少し大げさかと(ロータリー耕よりはずいぶんマシですが)。それよりも、下層土との接触面積を増やすことが表層土水分量の安定化につながるのではないかと期待しています。ただし、大雨時、深耕部分にたまる水分は好し悪しなので、表層土の余り水は速やかに排出する必要性があると考えます。これについては、別の対策が必要かと。